ページの先頭です。
メニューを読み飛ばして、本文へ。
西陣.COMトップへ English サイトマップ
「西陣」とは? 西陣の歴史 西陣織について おびなび
西陣.COM資料室 リンク お問い合わせ
西陣織会館
ここから本文です。
西陣織について
糸染の技術
■ 西陣織を支える技 織屋が見初めた西陣の糸染

一反の西陣織ができるまでに、多くの職人の手業が欠かせないことは、あまり知られていない。例えば糸ひとつを取って見ても、原糸(げんし)、撚糸(ねんし)、精錬(せいれん)、糸染め(いとぞめ)、糸繰り(いとくり)、整経(せいけい)、経継ぎ(たてつぎ)、緯巻き(ぬきまき)など、さまざまな工程がある。そしてそのひとつひとつが、職人の技によって成されているのだ。そんな匠の世界を垣間見ようと糸染めの工房を訪ねた。


● 浜卯(はまう)染工場を訪れる
堀川今出川の交差点を西へ歩み、猪熊通を北に上がると、大通りの喧騒が嘘のような静けさが訪れた。耳を済ませば機の音が聞こえ、ここが西陣なんだと実感させてくれる。通りには風情ある町家が軒を連ねており、その中の一軒に浜卯染工場はあった。間口は狭いが奥行きのある、京の町家をそのまま利用した工房には、大きな釜がいくつも並んでいた。
「このへんは、昔からやわらかいええ地下水が出るんです。そやし染屋がぎょうさんおるんでしょうね」
浜卯五代目主人の岡本祝郎さんは、そう言いながら大釜に水を張り、精錬の準備に取りかかる。これは生糸の表面を覆うニカワ質のセリシンを取り除く作業で、絹特有の美しい艶を出すには欠かせない仕事だ。沸いた湯に石けんを溶かし、そこに袋に入れた生糸を入れる。機械を使えば1時間で終わるが、浜卯では3時間かけて釜で煮る。そのほうが、明らかに染め上がりが違うらしい。
 


● どんな色にでも染め上げる経験と勘
染めの作業に入るため、染め釜へ移動する。岡本さんは織屋から渡された見本を見ながら、化学染料を釜の湯に溶いていく。染料の数は10色ほどだが、赤、黄、黒の染料だけで基本的な色は再現できるとか。染め竹と呼ばれる短い竹竿に通した糸を、釜の中に入れる。手鉤(てかぎ)を使って糸を回していくと、純白の糸はみるみるうちに淡い桃色に染まっていった。釜から出した糸を手鉤で巻いて絞り、見本と見比べる。
「色の微妙な感じを見るんは、自然の光でないとあかんのです」
天窓から差し込む明かりで色を見ると、再び釜の中に糸を入れる。淡い色であれば5回、濃い色だと10数回、この作業を繰り返して、見本と同じ色に仕上げていくそうだ。

ニカワ質を取り除いた絹糸はそのままでも艶があり美しい

丁寧に色を確認しながらぴったりと同じ色に仕上げていく
● 諦めていた着物も糸でよみがえる
決まった色を機械で大量に染める場合は、染料の配合レシピがある。だが、岡本さんの糸染めにマニュアルはない。職人としての長年の経験と勘だけが頼りだからこそ、どんな色にも染め上げることができるのだ。
ほつれてしまった昔の着物を直したいけど同じ色の糸が手に入らずに諦めている人、着物を洋服にリフォームしたいが思い通りの糸が手に入らない人は、ぜひ浜卯を訪ねてほしい。微妙な色の違いを見抜く確かな目と、それを再現する経験と技が、望みの色に染め上げてくれるはずだ。

戻る

Copyright (C) 1997 - 2014 Nishijin Textile Industrial Association. All rights reserved.
バナー広告(広告をクリックすると外部サイトへリンクします)